「倉本さん」 自分の名前が響く廊下は、東京、大森の大学病院。病状に気づいた頃は、まだ歩けていた。半年が経った今、立ち上がるだけで貧血になり、目の前が霞む。そうやって、自分に痛みを与える事で、どこかしら生きる実感を得ていた。隣に座る老婆と、六…

人を一人前に愛したのは、最後いつだろう。 自分がこの世で感じた愛は全て嘘に変わってしまった。結論を言えば、今、自分は、誰からも愛を感じていなければ、妙に避けている。他人から愛や興味を示されると、必ずと言って、嘘や偽りへと変わる事が、今までが…

ただ単に嫌われることを恐れているだけなのだ。 相手が変に、自分が調子が悪いときに限って鼻を突っ込んでは、様子を伺ったりして気にかけてる仕草に反応を返すことに疲れ、野暮になる。変に期待されて自分の懐を探られては本性がばれ、どうしようもないぐら…